市川市  市川市文化会館95

市川市      市川市文化会館

市川市大和田1-1-5

普通の市民が演じるミュージカル 市ミューの「michio!」

 

出演者はすべて一般の市民、それでいて、学芸会のレベルではなく、壮大なスケールで観る人を魅了する──そんなミュージカルがシルバーウイーク前半に上演される。第9回を迎える「いちかわ市民ミュージカル」だ。

「いちかわ市民ミュージカル」は、2002年に第1回が上演されて以降、隔年で実施されてきた。そのコンセプトは、初回からずっと変わらない。これまでの作品はすべて、市川に由来するオリジナルのものばかり。また、全国各地で上演される市民ミュージカルの中には、出演者の中にプロの役者、ダンサーなどが入ってレベルを上げようとするものもあるが、「いちかわ市民ミュージカル」は、舞台に立つ出演者全員が普通の市民なのだ。

それでいて、スケールの大きさに圧倒されるのは、演技、歌唱、ダンスなどの指導、舞台設計、音響、照明などをプロがサポートしているため。だが、あくまでも、市民による市民の舞台で、老若男女、市川市民を中心に、演劇やダンスなど舞台芸術を楽しもうとする人たちが集まっている。今回は約160人が出演し 最も多い時には300を超す人が舞台に立った。地元財界人や市役所職員、元議員も役を演じ、過去には、現職の市長が自ら出演したこともあるほど。「市(いち)ミュー」と呼ばれ、地域に溶け込んできた。

その出演者たちは、かつての演劇青年のような、必ずしも演劇やダンスなどに興味がある人ばかりではない。今回は事務局長として裏方に徹し、過去には主役を演じた経験もある加藤俊明さんは「出演者が多くいた子ども会の付き添いが最初。普段はサラリーマンで、それまで演劇など全く興味が無かった」と話す。加藤さんは、勤め先を定年退職したことで時間に余裕ができ、“恩返し”の意も込めて事務局長を引き受けたという。定年後を地元の市民活動に取り組む好例と言えるかもしれない。

ダンサーとして舞台に立つ相馬明美さんは、お隣の浦安市民で今回が3度目の出演。浦安の市民ミュージカルに子どもを出演させたのが、ミュージカルに関わったきっかけだった。「子どもに何か夢中にさせるものを与えたい」と考えた相馬さんだったが「今では私が楽しんでいる」と笑う。

小中学生、未就学児など子どもが多数参加しているのも特徴で、今回初めて出演する岩崎隆さんのように「最初は興味がなかったが、子どもの付き添いをしているうちに、今度は自分でやってみようという気になった」という人も少なくない。

出演者の多くは、公演前の3~4カ月間、猛稽古に励み、本番の舞台で燃焼し尽くし、公演が終わると“ロス”に陥ってしまうようだ。そのため、「市ミュー」から演劇集団、ダンサーチームなど派生した団体が続々と誕生、出演者がその後も舞台を楽しみ続けている。前出の岩崎さんは、親同士の付き合いから所属するようになったダンサーチーム「おやぢduソレイユ」という「市ミュー」から派生した団体のメンバーだが、今回は“逆輸入”のような形で出演することになった。

さて、第9回の公演は写真家である故星野道夫の生涯をミュージカル化した「michio! ~星野道夫物語~」。星野道夫は市川市の名誉市民で、雄大なアラスカの自然などを撮影した作品で知られている。1996年に熊に襲われる事故で亡くなった。稽古場へ激励に訪れた夫人である星野直子さんは「皆さんが舞台を作り上げてくれ嬉しい気持ちでいっぱい。(道夫)本人はとても驚いているのではないか」と話す。

第1回から演出を手掛け、今回も脚本、演出を担当する市川在住の演出家である吉原廣さんは「星野道夫という人は、子どもの時から何が一番好きなことか探ってきた。そうした姿勢を、とりわけ若い出演者に舞台を通じて学んで欲しい」と語っていた。

公演は9月16日と17日、それぞれ11時と15時30分と計4回、市川市文化会館大ホールで行われる。

■いちかわ市民ミュージカル「michio! ~星野道夫物語~」

日時 9月16日(日):1回目 11時(Aプロ) 2回目 15時30分(Bプロ)

9月17日(月):1回目 11時(Bプロ) 2回目 15時30分(Aプロ)

場所 市川市文化会館大ホール(千葉県市川市大和田1-1-5)

入場料 前売り:指定席 2,500円 自由席 1,500円

当日券:指定席 3,000円 自由席 2,000円

問合せ・申し込み いちかわ市民ミュージカル実行委員会(047-369-7522)